忘れ物
こんにちは はじめまして
お会いできて 嬉しいです
いい天気ですね 生まれはどちらですか
これも何かの縁ですね
「いいえ ちがいます
はじめてではありません
以前何度かお会いしてます」
わたし あなたのこと 忘れました
あなたと交わした言葉 思い出せません
おかしいですね でもたぶんきっと
忘れたんです あなたのこと
こんばんは はじめまして
ごきげん いかがです
外は雨です 行き先はどちらですか
お酒でも一緒に呑みませんか
「いいえ ちがいます
はじめてではありません
以前お酒も一緒に呑みました」
わたし あなたとの酒 忘れました
あなたと交わした盃 思い出せません
おかしいですね でもたぶんきっと
忘れたんです あなたのこと
昨日の約束 朝方の夢
全部忘れました
生まれた街 乗り換えの駅
忘れてしまいました
家猫の声 作りかけの歌
明日の夕映え あなたの眼差し
繋がった虹 好きだった色の名前
いくら手繰り寄せても
都合がいいと罵られても
♪
今回の宿題、無理なのかなぁと
昨晩夜中に、ワールドカップの総集編をテレビで見ながら
薄くなった水割りちびちび、
ギターをつま弾いてたら
ふわっと、降りてきました。
本当に、ふわっと。
それまでに
パズルのピースは無数に書き散らしていて
または
頭の中に撒き散らしていて
それらがある瞬間に
一気に結集してくるのです。
その瞬間に湧き上がってくるピースもあります。
結集したものは
まるで以前からそういう形だったような
佇まいをしている。
そんなときは、
これ悪くないかもな、と思う時です。
最近の僕の創作パターン。
だから僕はきっと
締め切りやテーマがないと
創作が進まない人なのかもしれません。
うすうす気付いてはいるけど。
さて。
果たしてこれが
森山さんのリクエストした
「ものすごく性格の悪そうなうた」
かどうかは、微妙ですね。
表面的には
残酷な、ひっどい話だけど
逆説的なニュアンスが出てるし（私解釈）
前世的な時間軸の奥行きもにじませて
結局は自分らしい歌になりました。
でもさ、
とことん本気で
「性格のわるい歌」を作ろうとしたら
とんでもないことになる、と今回思った。
考えれば考えるほど
今でもぞっとする。
たかが 歌 なのかもしれんが
やはり歌は 生き物 。
そんなものとことん作ってしまったら
生み出された歌に
僕自身がそのうち殺されてしまう。
本気で、そう思います。
自分が発する言葉、歌、音楽、
大事に紡いでいきたい
適当なものなんて作りたくない
というような気持ちに包まれてます。
創作に限らず、ね。
なんだか予想外の展開だけど
この宿題に向き合った意義は、きっと大きい。
♪
僕のような小さな範囲で
音楽の活動をしてる者でも
一度でも会ったことのある人と再会するときに
（話をしたことがある人も含め）
覚えていない、忘れてしまった、ということが
もう多々あります。あるんです。
しかも歳を重ねるごとに
ますますその傾向はひどくなっており、
そのたびに
どこかに隠れたいような気持ちに苛まれます。
たとえば、ライブに何度か来てくれた人に対してとか。
無礼者です、ほんと。
しかし
今後もそういうことが
あると思います。
ヒトデナシと思ってくれて結構なんですが
本当に悪気はないので
（悪気がないから、残酷度は高い…）
そういう時は、どうぞ
ジョー長岡のくそったれと
頭の中でつぶやいてください。
もっと言えば
僕自身のことは、忘れてくれてかまわないけど
この歌のこと思い出したりしてくれたら
うん、それは嬉しいな。
タイトルは「忘れ物」にしよう。
今日、渋谷でやってみますね。
ぜひ聞いてほしいです。
♪
「性格の悪そうなうた」
で、僕が思い出した曲が2曲。
ひとつは
ジョンレノンの「How Do You Sleep?」
ご存知ポールマッカートニーをけちょんけちょんにした
有名な曲だが
ジョンはのちに「あれは自分のことだった」と、語ってる。
そう、自分で生んだ歌は
全部自分に返ってくる。
ジョンとポールの確執話で面白いと思ったのが
ジョンが「ポールの悪口を言っていいのは俺だけだ」と
語ってた事実。
この二人の繋がりを感じさせる。
もうひとつは
中島みゆきの「うらみ・ます」
スタジオ一発録音らしく
泣きながら、みゆき嬢。
誰かへの批評、批判ではなく
恨みま〜す だからね。
巫女の領域。
良い とか 悪い とか
そんな尺度、突き抜けちゃってて
凄まじいです、参りました。
女 にしか作れない歌があるね。
おかげで、
中島みゆき氏ばかり聞いてます。
昔も今も、どれも素晴らしいよ。
さあ、渋谷で会いましょう。
ジョ
