神戸  〜2013秋のツアー記 その1〜





僕は43年前に

神戸という街で生まれた。


親父は山口県の生まれで

初めての転勤先、神戸で

母と知り合った。


母は岡山県の生まれで

親戚を頼って神戸に移り住み

大阪の仕事先に通っていた頃、

父と出会ったらしい。


二人は見合いで知り合い

恋に落ち

神戸で結婚し

僕は産まれた。



43年前の

海と山に挟まれた

小さな街で起きた

小さな出来事。



僕は5年余り神戸で過ごした。

だから、

当時の神戸の記憶はほとんどない。


その後、数年単位で

日本全国、転居を繰り返したので

僕には「地元」という場所がない。

故郷がない。


生まれたのは神戸。

だけど、

故郷ではない。



あちこちに友達がいて

いいじゃない、という人がいる。


全国津々浦々

いろんな場所に行けて

いいじゃない、という人がいる。


煩わしいことがなくて

いいじゃない、という人がいる。


そう言われると

当事者にしかわからない感覚というのが

確実にあるものだと

閉口しながら、つくづく思ったものだ。




故郷がないことを

とても大きなコンプレックスに感じている時期があった。


自分のルーツが

実際の土地に、根差していないこと。


今では少し感じ方が違う。

少なくとも、

コンプレックスではなくなった。




20年前に僕は

神戸に住む女性に恋をして

震災の後、

結婚した。


復興中の神戸で式を挙げて

宴を開いて

沢山の人に祝福された。



理由あって

その人とは10年前にお別れして

今に至る。



神戸は

僕には、とても特別な街。

大切な大切な、愛しい街。



そんな神戸に

阪本正義と東京バンドと一緒に

歌いに行った。


お店は、James Blues Land。

ポートタワーの裏側にある、

倉庫を利用した空間。

あの震災でも倒れなかった、倉庫の3階。






階段途中には

昔の神戸港の様子。

モノクロの写真。



2階から3階への階段には

古い木の床板をわざと残している。

キシキシと、小気味いい床鳴り。


今回のイベントの主催、よしみさん曰く

「ジョー、これが天国への階段やぞ」 笑




神戸での

麗しき金曜日♪





主催のよしみさんは

この日、誕生日だ。




ここは輸入ソファーの

展示場でもある。

超特大サイズ(外国仕様)の

可愛い顔したソファーがあちこちに。



Jamesのマスター、スーさん曰く、

1920年代のヤマハのアップライト。

鍵盤は象牙

チューニングの都合で

今回は使わなかったけど

リハーサルで触らせていただく。



ライブには

逢いたかった人、

懐かしい人、

遠くから駆けつけてくれた人。


そして、

初めて出会う人、人。


皆様のおかげで

いい夜になりました。


ありがとう。

ありがとう。





最後に、出演者全員でやった

阪本正義の「丘の上にすわって」。


歌詞が今の自分に重なる。

本番中も、深く沁み渡った。





翌日。


ハーバーランドにある西村珈琲で

ブレックファースト。



今夜の演奏場所、豊川へ。

朝のJR神戸駅のホーム。

ジョー、ローリン、しまさん。

(ビル迎は神戸のみ同行で、この日帰京)


(撮影 まじ)


美しいRが特徴の

神戸駅のホーム屋根。



実は今回のツアーに

僕を推薦してくれたのが

まじさんだと、後になって知る。







神戸から豊川への乗車券は

自動販売機では買えなかったので

時間もなく、

とりあえず初乗りで改札をくぐった。

キセルの為ではありません 笑)



切符を手にして眺めたとき

ドキッとした。


今の自分の立ち位置を

示してくれているような

気分になった。

神戸から120円。




43年前も


そして今も


この小さな切符一枚で


どこへでも行ける。


どこへでも行ける!





ジョー